学びとは何か(アンダーライン)

熟練者は、いちいち考えなくても必要な行動が必要な時に自然とできる。

これを認知科学では「スキルの自動化」という。必要なことを意識を向けずにバックグラウンドでできるようになることである。

 

しかし、ただ時間をかければよいわけではない。エリクソンたちは練習の時間と達成度の関係を調べただけでなく、練習の質についても調査を行った。アマチュアレベルの人たちは楽しみのために練習をする。それに対して、達成度の高い熟練者たちは、練習を楽しみではなく、向上のために行っている。

 

誰もが本番では集中して必死になる。しかし、練習でどれだけ必死になれるだろうか。

エリクソンのよればアマチュアレベルの人と達成度の高い熟練者との間の著しい違いは、練習中の集中度だ。達成度の高い熟練者の練習は高い集中度を保つため、メリハリをつける。集中度が落ちてくると休み、集中力が低下したまま、むやみに練習を続けることはしない。一流の熟練者は極度に集中し、考え抜いた練習を、後に支障がないように持続できる最大の時間、行っているのである。

 

プロ棋士羽生善治さんは、集中するために「ぼんやりする時間」を極力つくると著書にかいている。

羽生善治さんは才能について問われると、「ひらめきやセンスも大切ですが、苦しまないで努力を続けられるということが何よりも大事な才能だと思いますね」と答えている。